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「ま~る」(旧「NPO配りの会」)犯罪を経験した当事者と支援者でつくる自助グループ

ま~る(旧「配りの会」)は、刑務所出所者など犯罪を経験した当事者と、産業カウンセラー、家族相談士、精神保健福祉士、社会福祉士、弁護士などでつくる、自助グループ活動を行っているNPOです。2011年設立、刑務所から社会へ戻る方に寄り添う活動をしています。

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出所後に感じたこと

2014年の7月に長い刑期を終えて出所し、その後「ま~る」の活動に関わってくれているシャンプーさんに、出所後に感じた事を去年書いてもらいましたので、ブログに掲載したいと思います。 ゆうこりん
 

kojima20.jpg
Photo taken by Hiroshi Kojima

出所後、驚いたこと、困ったこと、嬉しかったことはなんですか?

■出所後まずはじめに驚いたことは、

私の目の前を 人が歩いていることです。
無関心に人が通過すること。当たり前のことですが、刑務所の中ではありえません。
私服を着ている人が目の前を通過するだけでも戸惑うばかりでした。
また、東京の町中ではその人の多さにめまいを覚えました。
手を伸ばせば届く距離に、自分の人生と全く関係のない人が通過しています。
すべてが(月並な表現ですが)夢の中の出来事のようでした。現実感がなかったのです。
そして、道を歩いている時の匂いにも驚きました。
生ごみの匂い、糞尿の匂い、化粧品の匂い、タバコや珈琲の匂い、排気ガスの匂い。
刑務所では、どの刑務官がタバコを吸うかその臭気で判断できます。食事の前の香りでメニューが分かります。
また、同じ部屋の受刑者ならば、トイレの臭いから個人を特定出来ました。数人の中からの判断なら、簡単につくのです。
いつの間にか、嗅覚は鋭くなっていました。出所後のひと月は街の匂いで吐き気をもよおしました。

■次に出所後一番困ったことは、

友達がいないことです。
私は、逮捕を機会に地元から離れました。
帰っても、同居する家族が後ろ指を指されることが嫌でした。
私は、地元を離れ、誰も自分のことを知らない土地での生活をはじめました。
誰も自分のことを知らないので、私も周りの人のことを知りません。話し相手のいない、刑務所以上に孤独な生活からのスタートでした。
また、身分証明書がないことにも困りました。
出所時に持たされた「在所証明書」は、受刑期間が丸わかりなので使えません。
住居を得る→住民票を登録する→住基カードを作る→銀行口座を作る→携帯電話を契約する。
私はこの手続に3週間はかかりました。毎日どこかの窓口に顔を出し、書類を提出し、その結果が郵送されるのを待ちました。
今の世の中、連絡先の電話番号がないというのはありえないことです。また、連絡を取るためにテレフォンカードを使用しましたが、昔ほど電話ボックスはありません。
見つけた電話ボックスの環境も大体が悪いのです。道路沿いで車の音が大きかったり、ボックス式で夏日ではサウナだったり、はたまたカードが入らなかったりします。そして、携帯電話にかけると、カード度数はかなりのスピードでみるみる減ります。自分の番号がないので、先方からかけることはできません。電話をするときは、全て私から、私の費用負担です。携帯電話代以上のテレフォンカード費用でした。
携帯電話を契約するのには、住基カードと預金通帳の組み合わせては足りないのです。年金手帳、公共料金支払い証などの補助書類が必要でした。引っ越して間もないので、公共料金の支払書はありませんでした。
パスポートも考えましたが、取得費用が1万円以上はするので諦めました。前科者は、渡航制限があるので、海外旅行を考えません。
海外へ行かないのにパスポートを持つのもおかしな話です。
なぜ、ここまで自分の身分証明書が手元にないのか、周りには前科を隠しているので説明がしづらいのです。
説明に困ったとき、
「長く病院の閉鎖病棟に入院していた。」
と嘘をつきました。
そして、その嘘を補完するのに、架空の病気を作り、それを自分のプロフィールとする、いわゆる偽装をしました。
前科を晒すよりも、私は嘘をつくことを選んで生活しています。
それでも、深い仲にはならない人たちには何度か刑務所にいたことを告げたことがあります。
その人は次の言葉に、罪名を訪ねます。そして事件について細かな話を聞きたがります。
こちらとしては、そこまで話したくなく、判決の中には受け入れがたい事実も在り、興味本位で尋ねられたくないのです。
この経験から、前科を隠すようになりました。

■最後に、出所後嬉しかったことは、

やはり自由があることです。
刑務所の時間割は起床から就寝まで、単調です。
それが、出所したらどこで何をしようが自由です。
自由で嬉しい事は無数にありました。
衣食住から説明します。
衣類を選べます。私は、刑務所では、全部の衣類を官物で済ませていました。官物のパンツ(官パンといいます)を履かなくていいだけで、気分は明るくなります。
衣類を店で選び、試着してみること、アイロンがけをしたりネクタイを締めて人と会う準備に時間をかけること。
それがとても楽しく感じます。
食については、買い食いができること。そして、料理ができることが面白いです。スーパーで安売りの品を見つけ、栄養があり、なおかつ美味しく料理をし、腐らせないうちに食べきる。このアベレージを高めることが楽しいのです。
住居については、今は生活保護の寮に住んでいますが、電化製品がたくさんあり、文化的です。
洗濯機、トースター、エアコンなど、普通の家庭にあるものに手を触れるだけで出所できたことを実感します。
また、部屋にはぬいぐるみも増えました。これを手元に置くのは、やはり、ただ、カワイかったからです。刑務所の中では折り鶴を作ることすら禁止でした。
ほか、物欲に関しては、すぐにBOOKOFFに入り浸りはじめました。受刑生活中は1ヶ月の収入で3冊しか買えなかった書籍が、BOOKOFFでは無限にあるのです(読みきれないという意味で無限です)。
本の不足、情報の枯渇は切実でした。刑務所では、欲しい本が届くのに、約一ヵ月かかります。
教育上好ましくない本(性描写、暴力表現)だと切り裂かれて廃棄されますが、他では代えられない情報媒体です。
この価値観のまま、BOOKOFFへの入店でした。一生かかっても購入できない量の本が、読み放題でした。
まだ中にいる人に申し訳ない、この本の一部でも分けてやれないだろうか、と、悲しくさえなりました。
しかし、いろいろな自由を試してみて、やはり暴飲、暴食、徹夜などは生活リズムが崩れ、体調も崩れます。今は、そこそこの規則正しいせいかつをしています。いつでも夜更かししていいという、その自由な気持ちだけでも嬉しいものです。

■この文章は

私の出所後から二月ほどの経験を素直に綴り過ぎたものです。
今になって恥ずかしくなり、訂正をしました。
出所後は誰もいなかったのに、今では多くの知人、友人に恵まれています。
その私を知る友人達に話すには赤裸々すぎました。
また、いわゆる「ムショボケ」た文章で、とても世に出せるものではありませんでした。
末筆ですが、紆余曲折の出所後生活を支えてくれた「ま~る」には深く感謝しています。次に会う時の成長を楽しみにしています。

2015年1月2日
シャンプー拝
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